奄美群島には大学が存在しません。管理された教育制度のもとで運営される既存の大学がなく、閉鎖的な建物と教室に幽閉された状況から解放されていること、これは希望であり可能性です。珊瑚礁の干瀬に立って文字通り海と陸の中間地帯の存在を感じとること。踊りと音楽を土地の伝承として生き直すこと。真の暗闇を見つめること・・・。教室ではけっして学びえないことから、学びと教えの輪は新しいサイクルを描き出します。
この可能性の島々に、私たちは「奄美自由大学」という、キャンパスを持たない、遊動的で、自由参加型の学びの場を創造することにしました。ここでは誰もが一人の学び手であり、同時に他者に伝えるべき何かを持った教師です。自由大学の3日間の課程は、島の土地土地への巡礼という形式で進行していき、土地の深い記憶を私たちの生きる時間と結び合わせることがさまざまに試みられます。島の知者たち、美の実践者たちの無償の贈り物を受け取りつつ学び、同時に彼ら・彼女らに私たちの持っている何かを贈り返すのです。
こうした、学びの互酬性と自由な開放性に期待と確信を抱いている人。そのような人々に向けて、奄美自由大学への参加を呼びかけたいと思います。
奄美自由大学主宰 今福龍太
奄美自由大学事務局 濱田康作